SUPERIOR CLOSET INED international|スーペリアクローゼット

MENU

FEATURE

デザイナー・宮越泰代の手仕事

デザイナー・宮越泰代の手仕事

デザイナー・宮越泰代の手仕事

COLUMN

Nov.13.2015

Share :

About Speaker

企画生産部 企画グループ
宮越泰代 Miyakoshi Yasuyo

岐阜県生まれ。名古屋モード学園を卒業後、2002年にフランドル入社。学生時代からコンテストで受賞するなど、デザイン力の高さは随一。現在はイネドのニット・カットソーのデザインを担当。温和な人格とは裏腹に、真摯に仕事に打ち込む姿は、頑固な職人を思わせる。

トレンドに走りすぎず、ニュアンスで進化し続ける

“正直、うまくいかないことが多いです。”

出会った彼女の口から最初に出た言葉は、意外にも数々の賞を受賞したデザイナーから繰り出す言葉ではなかった。

宮越さんが作り出すカットソーやニットは、基本、とてもシンプル。
だけど、毎シーズン必ず気の利いた“変化”が必ずあるのが特徴だ。

“肩の切り替えや身幅、袖口の広さ、丈など、細部にこだわったものづくりを心がけています。
特に、フランドルは品のあるベーシックを大切にしているので、そのなかで、いかに毎シーズン違いを出していくかが課題です。”

だからなのでしょうか。彼女の“作品”には、フォルムがあります。立体的だったり、コンパクトだったり。
糸や生地によって変幻自在!そのバランス感はどこからくるのでしょう…。

“フォルムを考えるとき、素材から入ることもあれば、逆にトレンドから入るときもあります。
今年なら、少し肩の力の抜けたエフォートレスなシルエットやフォルムが主流なので、そのイメージから糸や生地を選んだり…。
両方からアプローチしますね。”

形づくる日本の匠の数々

宮越さんが手がけるカットソーやニットは、とにかく女性を美しく魅せる。
なかでも、体と生地との距離感は秀逸。服のなかで、美しく体が泳ぐのです。

“例えば、メンズライクな糸を使ったニットの場合、
シルエットや分量で程よく動きが出るくらいのゆとりのあるシルエットを追求します。
オーバーシルエットでも、ラフな感じではなく、柔らかく体を包み込むような…。
線が華奢で女性らしく見える、そういうバランスを大切にしています。”

絶妙なバランスを追いかけるゆえに、冒頭の言葉が出てきたのだろうか?

“そうなんです。納得のいくフォルムにたどり着くまでには、失敗がつきもので…。でも妥協はしたくないんです(笑)
だから、できる限り早く構想を練り、人より数回多くサンプルをあげてもらい、何度も修正を繰り返します。”

美しく体が泳ぐ、ゆったりしながら女らしい、理想的なフォルムは簡単にはつくれない。
ただ、何度もフォルムを思い描き修正する過程で、イメージとカタチが合致していくのだろう。
体と生地との距離感は、妥協しない強い信念の手仕事なのだ。

“ただの欲張りなんです(笑) もうちょっとできるかもしれない…って。”

控えめな気持ちは女性らしさを加えていく。
デザインと一言で言っても、ただ形を創造するだけでなく、たった一枚の生地から始まる根気と時間のいる作業。

“明治時代につくられた吊り編み機を使ったローテクな技術から、
データを入れるだけで自動的にシームレスなニットが編まれるホールガーメント。
という最先端の技術まで、つくるものによって、手法を使い分けます。
それらのおかげで、デザインするうえでの世界も広がりました。ローゲージなのにぼってりしていないとか。
確実にフォルムは進化しています。とにかく夢中です。”

彼女の手を動かすのは、ものづくりへの愛ある探究心が力となるのだろう。

Share :

PAGE TOP